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東北大学多元物質科学研究所サステナブル理工学研究センター

希少元素の循環型社会を確立し、東北の復興につなげる
中村 崇 教授 金属資源循環システム研究分野
1949年
福岡市生まれ
1977年
九州大学工学研究科博士課程終了後、九州工業大学講師に就任
1991年
同大学教授に就任
1998年
東北大学素材工学研究所へ
2001年
組織変更により同大学多元物質科学研究所教授に就任
2012年
文部科学省東北発素材先導プロジェクト
『希少元素高効率抽出拠点』研究代表者就任
専門分野
製錬工学、リサイクル工学

金属素材の研究から元素循環の研究へ

図:金属素材の研究から元素循環の研究へ 最初は金属素材を作る研究をしていましたが、それをベースにしたリサイクルのプロセス開発研究を長年行ってきました。廃棄処分する電子機器を分解して、レアメタルの含まれる部品を効率よく回収し、この部品から元素を抽出するための研究からリサイクル社会システム構築まで取り組んでいます。
その他にも、廃棄物の無害化処理技術、エネルギー回収、処理過程における低環境負荷技術の開発も行っています。

循環型社会を作るための技術と社会システムをマッチング

図:金属素材の研究から元素循環の研究へ 日本はハイテク機器に不可欠な希少元素の深刻な供給不足に直面していますが、同時に世界有数の都市鉱山を保有しています。この貴重な元素の循環使用を確立するため、リサイクルの社会システムについても研究を進めてきました。
小型電子・電気機器回収試験を日本で初めて行い、2012年には小型電子機器のリサイクル促進に関する法律が制定されることになりました。それまではデジタルカメラ、計算機、電話やゲーム機器などの小型の電化製品からも有用な資源が回収できるにも関わらず、一般ごみと一緒に破棄処分されていたのです。
この法律の制定は循環型社会の確立への大きな第一歩となりました。

東北の復興を支えるプロジェクト

 現在、文部科学省の支援を受けた「希少元素高効率抽出技術」に関する研究開発プロジェクトに取り組んでいます。希少元素の新しい選別技術と新しい製錬技術を研究するプロジェクトで、東北地方が強みを持つ金属精錬分野の研究ポテンシャルを活用し、様々な研究機関や企業と協力体制をとった産学連携を進めています。
まず、 廃棄された電子機器部品を破砕・解体し、物理的に選別・分離する基礎技術を確立するために新しい破砕方法の原理に関する基礎研究、破砕物に含まれる有用金属のセンシング技術や選別技術の基礎研究を行っています。そして、分離された破砕物から有用な金属を取り出すための新しい製錬方法に関する基礎技術を確立していくのですが、そのために溶融塩やイオン液体を用いた抽出技術の基礎研究を行っていきます。
さらに、リサイクル時に必要な重金属処理のためのハロゲン化処理に関する基礎研究を行い、実プロセスへの応用研究をします。また、これらの研究を支援するため、イオン液体や溶融塩の構造解析技術、希少元素分離のための分析技術の基礎研究や大規模計算科学を用いたシミュレーションを行っていきます。
このプロジェクトにより、東日本大震災で打撃を受けた東北地方の経済を活性化するような新しいビジネスに展開していきたいと思っています。