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生命分子ダイナミクスセミナー

第24回   
D好熱菌由来シトクロムc’の安定化機構の解明

藤井創太郎 氏
広島大学大学院 生物圏科学研究科 博士課程

シトクロムcは細菌から見出されるヘム蛋白質の1種である。当研究室では、好熱菌由来シトクロムcを研究対象とし、熱に対する安定性が常温菌由来シトクロムcよりも高いことを見出した。さらにX線結晶構造や変異体解析から、その安定化機構を考察した。また、好冷菌由来シトクロムcの安定性は常温菌由来のものよりも低く、シトクロムcの安定性が細菌の生育至適温度と相関することを見出した。

日時:2016年3月29日(火) 15:00-16:30
場所:東北大学片平キャンパス多元物質科学研究所 
東1号館3階会議室(307号室) 主催:高橋聡


第23回   
Dynamical study of proteins by two-dimensional fluorescence lifetime correlation spectroscopy

坂口美幸 博士  
理化学研究所

We are studying the structural dynamics of biological molecules using two-dimensional fluorescence lifetime correlation spectroscopy (2D FLCS). In the seminar, I will talk about the conformational fluctuation of cytochrome c on the lipid membrane. 2D FLCS analysis indicated that three conformational substates existed and the fluctuations among these substates were roughly estimated as two timescales; faster than 5 microsecond and tens of microsecond. In addition to it, folding studies of ubiquitin and cytochrome c will be introduced.
*This seminar will be given in English.

日時:2015年12月11日(金) 14:00-15:30
場所:東北大学片平キャンパス多元物質科学研究所 
東1号館3階会議室(307号室) 主催:高橋聡


第22回   
Dynamic Coupling among Protein Binding, Sliding on DNA, and DNA Bending Revealed by Molecular Simulations

 Cheng Tan 博士  
京都大学大学院理学研究科 生物物理学教室

The DNA architectural proteins, which are responsible for DNA compaction, play crucial roles in packaging the bacterial nucleoid into a cell.  HU, one of the most abundant prokaryotic DNA binding proteins, binds DNA preferentially to the intrinsically curved regions and stabilizes the bending of DNA, which is important in many processes such as replication, transcription, and DNA repairing. Despite the physiological importance, the sliding and recognition mechanism of HU and the relationship between HU binding and DNA bending is still unclear.  Here we use coarse-grained molecular dynamics simulations to investigate the binding and sliding of HU on DNA, and the subsequent conformational changes of DNA.  With special treatment of inter-molecular interactions, we successfully reproduce the experimental dissociation constant of HU-DNA complex.  We find that while having only slight preference for the A/T-rich sequence, HU selects nicks or gaps with significantly high probabilities.  Our results show that the binding of HU facilitates the bending of DNA and stabilizes the more compact HU-DNA complex structure, which is consistent with previous experimental results.  We also reveal the binding-coupled-bending mechanism to be a combination of  "conformational selection" and "induced fit".  Our results provide new insight into structural and functional properties of the binding of architectural proteins to double stranded DNA.
*This seminar will be given in English.

日時:2015年11月6日(金) 15:00-16:30
場所:東北大学片平キャンパス多元物質科学研究所 
東1号館3階会議室(307号室) 主催:鎌形清人


第21回   
遺伝子発現の転写調節:熱揺らぎの影響をふまえた分子機構の新しい評価法
Transcriptional pausing: Limitation of consensus DNA motif to understand the mechanism of regulation in vivo.

今清水正彦 博士  
米国国立衛生研究所(NIH)

Transcription elongation is frequently interrupted by pausing signals in DNA, with downstream effects on gene expression. Transcription errors also induce prolonged pausing, which can lead to a destabilized genome by interfering with DNA replication. We investigate the pausing pattern of RNA polymerase (RNAP) and nascent transcript errors in Escherichia coli by a novel approach, combining native elongating transcript sequencing (NET-seq) with RNase footprinting of the transcripts (RNET-seq). We identified a consensus DNA motif GNNNNNNTGCG that induces transcriptional pausing and G-to-A errors in E. coli (Imashimizu et al., Genome Biology 2015 16:98). However, our analysis using the data demonstrates that RNAPs recognize only a small fraction of those consensus motifs widespread and transcribed in the genome. This indicates the existence of an additional mechanistic layer controlling transcriptional pausing in vivo. In this presentation, I will discuss the mechanism and the role of transcriptional pausing that are explained by the consensus motif and are not explained by the consensus motif.
*This seminar will be given in English.

日時:2015年11月4日(金) 16:00-17:30
場所:東北大学片平キャンパス 
WPI-AMI本館2階 多元研図書室内セミナー室  主催:高橋聡


第20回   
Endogenous TLR4 ligand-mediated homeostatic inflammation in the lungs is deregulated in pre-metastatic

富田毅 博士  
東京女子医大 薬理学

Our recent studies have shown that molecules in innate immune system are critical key players in tumor metastasis.  The endogenous TLR4 ligands,S100A8 and serum amyloid A3 (SAA3) on binding TLR4-MD-2 complex trigger migration of circulating tumor cells derived from a primary tumor into future metastasis sites. The structure-function relationship of TLR4 endogenous ligands is discussed.
*This seminar will be given in English.

日時:2015年10月30日(金) 15:00-16:30
場所:東北大学片平キャンパス多元物質科学研究所 
東1号館3階会議室(307号室) 主催:高橋聡


第19回  
DNA結合蛋白質の蛍光1分子イメージング

横田浩章 博士  
光産業創成大学院大学 光産業創成研究科    

DNA複製・修復・組み換えは、種の遺伝的連続性を保証する最も重要な機構である。特にゲノムの安定性を保つには、厳密なDNA複製機構に 加えて、DNAに絶え間なく生じる様々な偶発的損傷を修復する機構が必要である。DNA二重鎖ではそれぞれの鎖が互いに相手の塩基配列のバッ クアップとして機能しており、特に高頻度で発生する塩基損傷を対象とする除去修復機構においては、損傷を受けたDNA側の一部を取り除いた上 で他方の鎖を鋳型にして再合成を行うことで信頼性の高い修復を実現している。除去修復機構は原核生物から真核生物まで広く保存されており、そ の欠損は発がん、神経変性、早期老化など、様々な病態の発現につながる。
これまで、除去修復機構に関与する数々のタンパク質が同定され、詳細な生化学的解析に基づいて反応機構のモデルが提唱されている。一方、 様々なタンパク質分子が実際にどのように相互作用しながら、長大なゲノムDNAに発生した損傷を効率よく、かつ確実に見つけ出して修復するの か、そのダイナミクスについては不明な点が多く残されている。そのダイナミックなプロセスの理解には、直接タンパク質が機能している現場を可 視化することが鍵となると考え、これまで蛍光1分子イメージング技術を発展させ、単一のDNA分子と相互作用するDNA修復タンパク質1分子 を直接イメージングして、そのダイナミクスを解明してきた。
本講演では、これまで行ってきたDNA−タンパク質及びタンパク質—タンパク質1分子間相互作用の解明に向けた技術開発、蛍光1分子イメー ジングによって明らかとなったDNA修復タンパク質のダイナミクス、現在進めている蛍光1分子イメージングに関する技術開発について紹介す る。

*This seminar will be given in English.

日時:2015年7月2日(木) 17:00-18:30
場所:東北大学片平キャンパス多元物質科学研究所 
東1号館3階会議室(307号室) 主催:鎌形清人


第18回  
固体表面に吸着し自己組織化するペプチド
Self-Assembly of Solid Binding Peptides on atomically-flat surfaces〜

早水裕平 博士  
東京工業大学 理工学研究科   

生体分子の固体表面の吸着に関する研究は,生体分子の自己組織化を基礎的に理解しようという観点や,生体適合インプラント,分子バイオセンサーといったデバイスへの応用の観点から盛んに行われています。一方で,生体分子を修飾したナノ粒子などのナノ材料を用いた研究はラッグデリバリーなどの医療分野への応用を見据え幅広く行われています。このような生体分子の吸着を考える場合、一般に、生体分子間の相互作用は共有結合ではなく水素結合や分子間力のような弱い相互作用によってなりたっていることが知られていますが、この弱い相互作用によって生体分子は任意の立体構造で自己集合し、階層的により高次の構造を形成し機能を産み出してます。この生体分子の特徴を活かした新たなバイオ分子と電子デバイスの界面を創生することができれば、あらたなバイオエレクトロニクスの可能性を開くことができるかもしれません。本発表では、タンパク質やペプチドといった自然界で多様な機能を有する生体分子が、固液界面で形成する自己組織化構造とその形成メカニズム、および、その自己組織化によって変調される固体の電子状態について議論していきたいと思います。

*This seminar will be given in English.

日時:2015年5月12日(火) 16:00-17:30
場所:東北大学片平キャンパス多元物質科学研究所 
東1号館3階会議室(307号室) 主催:高橋聡 


第17回  
変免疫グロブリン関連アミロイドーシスの分子病態学ー揺らぎの伝播と制御ー 

浜田大三 博士  
三重大学大学院 生物資源学研究科 

日時:2015年2月4日(水) 16:00-17:30
場所:東北大学片平キャンパス多元物質科学研究所 
東1号館3階会議室(307号室) 主催:高橋聡 


第16回  
モデル蛋白質から明らかにするアミロイド基本構造の形成機構

真壁幸樹 博士
山形大学工学部 蛋白質工学

蛋白質やペプチドは自己組織化して分子間会合しβシートに富んだアミロイドと呼ばれるナノ線維を形成する。アミロイドはアルツハイマー病などの神経変性疾患組織において観察され、病態との関連が示唆されている。アミロイドはクロスβスパイン構造というβシートが重なり合った構造を基本骨格として有しているが、さまざまなアミノ酸配列から多様な立体構造をもつ蛋白質がほぼ均一なクロスβスパイン構造になぜ変換されてしまうのか、どのような配列がこの基本構造を作れるのか、不明な点が多い。これらを明らかにすることを目指して、我々はモデルタンパク質として二つの末端ドメイン間に単層のβシートを持つ、OspAを用いて研究を行っている。以前にこのOspAの単層βシート領域に疎水性残基を並べて導入し、クロスβスパイン構造を模倣した変異体の作成に成功した。現在、この変異体を用いて、どのような配列がクロスβ構造を安定化するのか研究を進めており、本セミナーでは今後の展開も含めて紹介する。

日時:2014年6月13日(金) 11:00-12:00
場所:東北大学片平キャンパス多元物質科学研究所 
東1号館3階会議室(307号室) 
主催:高橋聡


第15回  
変性状態のタンパク質の高度利用 

Prof. Dirk-Peter Herten  
University Heidelberg

日時:2014年5月27日(火) 15:00-16:30
場所:東北大学片平キャンパス多元物質科学研究所 
南総合研究棟2 4Fセミナー室
主催:高橋聡


第14回  
変性状態のタンパク質の高度利用 

二見淳一郎 博士  
岡山大学大学院 自然科学研究科 化学生命工学専攻

 動物細胞の細胞内では非常に濃厚なタンパク質が適宜様々な分子間相互作用を介して生理活性を発現している。この高精細な機構は単独では特定の立体構造を保持しない天然変性タンパク質の介在により説明されるが,フレキシブルな物性故に組換え体の細胞内タンパク質の取り扱いには工夫が必要である。変性状態のタンパク質が凝集する主因は分子間の疎水相互作用やSS結合形成が挙げられるが,これらを同時に解決する手段としてCysを介して正電荷を付与するタンパク質カチオン化技術が強力な手段となり,ほぼ自由自在に難溶性の変性タンパク質を可溶化できる。本セミナーでは変性状態のタンパク質に水溶性を付与する化学修飾法と,この水溶性変性タンパク質を高度に活用した応用例にいてご紹介したい

日時:2014年3月19日(木) 17:00-18:30
場所:東北大学片平キャンパス多元物質科学研究所 
東1号館3階会議室(307号室)
主催:鎌形清人・高橋聡


第13回  
感染性グラム陰性菌のIII型分泌系依存的病原因子の構造的特徴

浜田大三 博士  
神戸大学大学院 医学研究科 構造生物学分野

日時:2013年2月7日(木) 16:00-17:30
場所:東北大学片平キャンパス多元物質科学研究所 
東1号館3階会議室(307号室)
主催:鎌形清人・高橋聡

第12回  
癌抑制転写因子p53はどのようにDNA上を走査するか?

寺川剛 氏  
京都大学理学研究科 生物物理学教室 博士課程2年 

 転写因子であるp53は、その機能を果たすために、DNA上の何十億という非特異的結合部位から、少数の特異的結合部位を効率的に探索しなければならない。しかし、そのような効率的な探索メカニズムに関して、構造に基づく議論はあまり行われてこなかった。というのも、p53はその40%が天然変性領域と呼ばれる揺らぎの大きな領域で構成されており、実験だけで探索ダイナミクス中の構造情報を得ることが困難であったからだ。本講演では、我々が独自に開発している粗視化分子動力学シミュレーションと、それによって得られたp53の走査メカニズムに関する知見を紹介する。また、p53を含めた転写因子のDNA上のダイナミクスを明らかにするにあたり、一分子実験と分子シミュレーションのコラボレーションの可能性と課題について議論したいと考えている。

 日時:2012年7月26日(木) 16:00-17:30
場所:東北大学片平キャンパス多元物質科学研究所 
東1号館3階会議室(307号室)
主催:鎌形清人・高橋聡


第11回
分子動力学法とNMRの融合

亀田倫史 博士  
産業技術総合研究所 生命情報工学センター
北海道大学大学院 生命科学院 客員准教授
 

 コンピューターの進歩により、分子動力学(MD)法の重要性はますます高まっている。例えば、数十年前には、100残基以下の蛋白質を、数ps計算するのが精いっぱいだったのが、近年では、1msまで計算できるようになっている。(Shaw DE etal; 2010 Science)本講演では、まず分子動力学法について簡単な講義を行う。次に、分子動力学法の最近の動向を概説したのちに、私がこれまで取り組んできた研究、それもNMRを用いる実験家との共同研究について、時間の許す限り述べたいと思う。

キーワード:アミロイド、GM1、高圧、固体NMR、構造決定

 

日時:2011年7月21日(木) 15:00-16:30
場所:東北大学片平キャンパス多元物質科学研究所 
反応化学研究棟1号館3階会議室(307号室)
主催:鎌形清人・高橋聡


第10回 
シャペロニンGroELの作用機構と細胞内での役割

田口英樹 博士  
東京工業大学 大学院生命理工学研究科

 田口英樹教授は,分子シャペロンやプリオンタンパク質の性質,タンパク質の凝集など,タンパク質のフォールディング現象の生物学的側面の研究を展開されている研究者です。このたび、共同研究の打ち合わせのために仙台に来ていただくことに合わせて,インフォーマルなセミナーをお願いしました。皆様のご参加をお待ちしております。(高橋 聡)

日時:2011年7月7日(木) 15:00-17:00
場所:東北大学片平キャンパス多元物質科学研究所 
反応化学研究棟1号館3階会議室(307号室)
主催:鎌形清人・高橋聡   


第9回 
計算機による蛋白質立体構造のデノボデザイン

古賀理恵 博士 ・ 古賀信康 博士 
University of Washington, Department of Biochemistry

 古賀ご夫妻は,ワシントン大学のDavid Baker教授の研究室において、タンパク質のデザインに取り組まれている若手研究者です。生物物理学会の東北支部会でのご講演のために来仙されますが、支部会では講演時間が足りないと思われるため,より詳しいお話を伺うインフォーマルセミナーを企画しました。ご希望される方はどなたも聴講が可能です。皆様、ぜひお集まりください。 

日時:2011年6月16日(木) 17:30-19:30
場所:東北大学片平キャンパス多元物質科学研究所 
反応化学研究棟1号館3階会議室(307号室)
主催:鎌形清人・高橋聡


第8回
走査プローブ顕微鏡による単一分子観察と化学分析

道祖尾恭之 博士 
東北大学多元物質科学研究所先端計測開発センター

 プローブ顕微鏡は、これまでの光学顕微鏡や電子顕微鏡とは異なり、局所的物理量を精度よく検出することで表面の情報を画像化する顕微鏡である。こと生体材料の計測では原子間力顕微鏡(AFM)が最も広く利用されてきたプローブ顕微鏡であり、主として溶液中環境でのイメージングツールとして活用されてきた。一方、探針−試料間を流れるトンネル電流をプローブとする走査トンネル顕微鏡(STM)は、物質表面に吸着した分子を単一分子レベルでイメージングするだけではなく、超高真空・極低温の環境下で非弾性トンネル過程を介した振動励起を利用した分子操作、表面吸着種の化学的同定を行うツールとしても活用されている。今回は、現在共同で進めている変成蛋白の実空間観察に向けてどのようなアプローチが効果的かを考えてみたい。  

日時:2011年2月22日(火) 17:00-18:00
場所:東北大学片平キャンパス多元物質科学研究所 
反応化学研究棟1号館3階会議室(307号室)
主催:鎌形清人・高橋聡


第7回
シミュレーションで膜タンパク質のダイナミクスに迫る 

城田松之 博士
東北大学大学院情報科学研究科

 膜タンパク質は生体膜を介した物質輸送,シグナリング,活動電位の発生,細胞接着など多くの機能を果たし,これらの機能をその分子レベルで理解することはより高次の生物学的機能の定量的な理解のために必須のものである.本発表では,膜タンパク質のX線構造をもとにそれらが脂質二重層からなる系において果たす機能についての二つの分子動力学(MD)シミュレーションについて説明する.第一は溶媒和された脂質二重層の大規模な系を構築し,純粋な膜とタンパク質を埋め込んだ膜についてのシミュレーションからタンパク質が膜のうねりや厚みの変化といったメゾスコピックな特性に与える影響について考察する.第二に,カリウムチャネルを膜に埋め込んだ系を用いたイオン透過のシミュレーションにより,チャネルの開構造と閉構造の差異やイオンがチャネルに入る際の脱水和について考察する.あわせて,膜タンパク質のMDシミュレーションにおいて時間・空間的スケールや細胞内外の問題などについても議論したい. 

日時:2011年2月22日(火) 16:00-17:00
場所:東北大学片平キャンパス多元物質科学研究所 
反応化学研究棟1号館3階会議室(307号室)      
主催:鎌形清人・高橋聡


第6回
溶液X線散乱とNMR残余双極子結合を用いた解けた状態のタンパク質の構造特性解析 
 

 関安孝 博士
岩手医科大学薬学部

 非リガンド結合状態にある天然変性タンパク質(Intrinsically Disorder Protein : IDP)の構造解析は,その機能発現のメカニズムの解明のためには必須である。また,所謂天然球状タンパク質の構造安定性のメカニズム解明のためには,天然状態だけでなく,解けた状態を含む非天然状態の構造特性を知る必要がある。本研究では,溶液X線散乱(Solution X-ray Scattering : SXS)プロフィルとNMRの残余双極子結合(Residual Dipolar Couplings : RDCs)の実測値を再現する構造モデルを計算機内に多数生成させる手法を開発し,解けた状態のタンパク質の構造解析を遂行する。大局的な構造情報を含むSXSプロフィルとともに,アミノ酸配列に依存した局所的な構造情報を含むRDCsを解析に用いることにより,解けて広がったタンパク質の各アミノ酸残基の主鎖2面角頻度分布や溶媒和パラメータを得る。この結果について,IDPと球状蛋白質の変性状態における構造特性と比較することにより,IDPの設計指針と機能発現の分子機構の解明に向けた構造生物学的な基本情報が得られると期待される。

日時:2010年12月7日(火) 16:00-18:00
場所:東北大学片平キャンパス多元物質科学研究所 
反応化学研究棟1号館3階会議室(307号室)
主催:鎌形清人・高橋聡


第5回
「生体分子の1分子時系列解析:実例に学ぶ、局所平衡状態の推定と自由エネルギー地形の構成」

馬場昭典 博士
北海道大学 電子科学研究所 分子生命数理研究分野

 エネルギー地形は、系が取りうる配置空間のそれぞれの部分領域の広がりや繋がり方についての概観を取り扱うために有用な概念であり、アンサンブル平均に基づく、静的、統計的な描像を基礎に置いている。一方で、蛋白質などの生体分子の1分子観測実験は、アンサンブルで平均化されていない分子の個性、すなわち1分子の構造揺らぎ、拡散、構造変化の履歴などを読み取ることができる。この1分子のレベルで系が感じているエネルギー地形とはどのようなものだろうか?
 今回は、我々が開発した、1分子時系列から配置空間上の粗視化された状態の組を推定し、その間の実効的な自由エネルギー地形を読み取る時系列解析手法について、具体的な実験時系列の解析例を交えて紹介し、皆さんと共に、エネルギー地形概念の動的な側面について考え、また、1分子から何を学び得るか、その難しさや面白さ、可能性について議論したい。  

 日時:2010年9月24日(金)10:00-11:00  
場所:東北大学片平キャンパス多元物質科学研究所
反応化学研究棟1号館3階会議室(307号室)
主催:鎌形清人・高橋聡


 第4回
「蛋白質の基質結合や構造変化における
分子揺らぎの意義を討論する会」

(新学術領域研究「揺らぎが機能を決める生命分子の科学」共催)

オーガナイザー
鎌形清人(東北大学・多元研・助教)
渕上壮太郎(横浜市大・助教)
高橋聡(東北大学・多元研・教授、新学術領域公募研究代表者)
芳坂貴弘(北陸先端大・教授、新学術領域計画研究代表者)

 蛋白質は環境からの熱雑音にさらされ、その立体構造は大きく揺らいでいる。蛋白質は、この揺らぎを利用し立体構造を変化させるなどして、効率的に基質を認識していると考えられる。しかしながら、その分子機構はまだ十分に解明されていない。例えば、蛋白質への基質結合機構としてInduced fit model Pre-existing model が提案されているが、実験技術や計算機シミュレーションの性能向上に伴い、これらのモデルでは蛋白質の基質結合機構、特に揺らぎの役割・制御を十分に説明できるわけではないことが明らかになってきた。そこで、この研究会では、蛋白質の基質認識過程に焦点を当て、蛋白質の揺らぎの性質、機能発現における揺らぎの制御、基質結合に伴う立体構造変化などについて、実験家と理論家が集い、最新動向の情報共有と議論・意見交換を行うことを目的とする。

日時:2010年3月4日(木)〜5日(金)
場所:東北大学多元物質科学研究所事務棟2階大会議室
催:鎌形清人・高橋聡


第3回
鳥の渡りのための化学コンパス
    〜本当のコンパスを捜す旅〜 

前田公憲 博士
オクスフォード大学 無機化学研究所 (Center for Advanced ESR)

 渡り鳥等の動物が地磁気を感じてその渡りに利用している事が言われますが、そのメカニズムとしてマグネタイト説と並んで提唱されている、化学コンパスモデルについて解説します。このモデルはラジカル対機構により、化学反応が地磁気を感じることによるのですが、その原理には電子スピンの量子力学的な運動や2つの電子スピンと核スピンの絡み合いといった物理学的にも興味深い問題が含まれており、生物学から量子力学観測理論まで巻き込んだ議論が始まっています。この問題に対する実験物理学化学者の立場からのアプローチについて易しく解説したいと思っています。 

日時:2009年11月5日(木)13:30-15:00
場所:東北大学片平キャンパス多元物質科学研究所事務棟2階大会議室
主催:高橋聡・山内清語

 

  

  


第2回
交流電場印加によるタンパク質核形成速度の制御 
 

小泉晴比古 博士 
東北大学 金属材料研究所 物質創製研究部 結晶材料化学研究部

 タンパク質結晶育成においてもっとも困難な過程は核形成である。このため、タンパク質結晶の核形成段階を制御することは重要である。このような観点から結晶育成時に外場を印加することにより制御しようという手法が多く試みられており、特に、外場として電場を用いる育成手法の試みが多く行われている。しかしながら、これまでの研究では核形成速度を抑制にしか制御できておらず、核形成が困難であるタンパク質においては制御が不完全であり、かつ、それらの電場による核形成の影響を現象論としか扱っていなかった。そこで、本研究室ではこの電場の効果を熱力学的に考察することにより、なぜこれまでの手法では核形成速度を抑制にしか制御できなかったのかを明らかにし、更に、核形成速度の促進にも成功した。 

日時:2009年10月22日(木)16:00-17:30
場所:東北大学片平キャンパス多元物質科学研究所 
反応化学研究棟1号館3階会議室(307号室)
主催:高橋聡


第1回
「技術系」として企業で働くということ 

鈴木基孝 博士
味の素株式会社 ライフサイエンス研究所

 発表者は理学研究科を卒業し、2002年に味の素に入社した。当初は与えられた仕事と自分の希望(スキル)とのギャップに悩んだものの、社歴を重ねていくうちにメーカーにおける研究開発の位置付けを理解できるようになってきた。今回は「技術系」として企業で働くことと大学院で研究することに距離(あるいは差異)があるのか、ということについて皆さんとともに考えたい。 

日時:2009年10月14日(水)16:00-17:30
場所:東北大学片平キャンパス多元物質科学研究所 
反応化学研究棟1号館3階会議室(307号室)
主催:高橋聡

 

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投稿者 高橋 聡
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